【記者：Ian Sample】
牛も人間のように、思春期になると強力なホルモンが体を駆け巡り、日ごとに気分が変わり、まるでジェットコースターのような感情の浮き沈みに耐えなくてはならないことが、カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究により明らかになった。研究者らによると、乳牛の性格は通常比較的安定しているが、感情的に混乱して不安定になり、人間の思春期と似たような時期を過ごすという。
乳牛ホルスタインを子牛から成牛に成長するまで集中的に観察することで明らかになった。「牛の思春期には性格が安定しない時期があることを確認した」と話すのは、ブリティッシュコロンビア大学のニーナ・フォン・カイザーリンク教授（動物福祉学）だ。
研究は、これまであまり扱われていなかったウシ属の生涯に光を当てたものだ。年齢による牛の性格の違いを突き止めようとしたこれまでの試みでは、子牛や成牛はそこそこ安定しているという結果が得られていたが、思春期についてはよく分かっていなかった。
フォン・カイザーリンク教授と、かつて同教授の教え子だったヘザー・ニーブさんは、牛を試験場に入れ、1頭でいるときや、知らないものや人に囲まれたときに牛がどう振る舞うかを観察。生後1か月、3か月、1歳、2歳半の牛を対象に、図太さと探求心の二つの性格的特徴について評価した。
その結果、子牛と成牛の性格は安定しているものの、これらの年齢の間にある思春期には、牛の行動は予測しにくくなることが分かった。
牛の性格や年齢による変化を理解することで、動物の健康や飼育手法の改善に役立つのではないかと研究者らは期待している。
神経科学者であり、米ユタ州のキメラ動物擁護センターのロリ・マリノ事務局長は、「思春期とは身体的にも情緒的にも激しく変化するとき」であるため、今回の研究結果には驚かないと話した。
「この時期は人間も、気分や性格が非常に不安定になる。今回の結果は牛であれ霊長類であれ、私たちがどれだけ似ているかを改めて示している」
研究結果は、英国王立協会のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス」に掲載された。【翻訳編集】AFPBB News
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