「これまでは投手陣におんぶにだっこでした」
ミラクルは続いている。秋の日本一を決める「第53回明治神宮野球大会」は19日、神宮球場で第2日が行われた。今夏に東北勢で初めて甲子園優勝を果たした仙台育英(宮城)が高校の部に登場し、初戦で沖縄尚学に5-4で逆転サヨナラ勝ち。0-4で迎えた9回に、一挙5点を奪った。
打線は8回まで、相手先発の東恩納蒼(ひがしおんな・あおい)投手(2年)の前に無得点に抑え込まれていたが、土壇場で覚醒する。1死ニ、三塁から敵失で1点を返す。さらに2番・山田脩也内野手(2年)の右翼線適時二塁打で追い上げ、なおも1死ニ、三塁とし、3番の湯浅桜翼内野手(1年)が中前へ同点2点タイムリーを放った。勢いを切ることなく、続く4番の齋藤陽外野手(2年)が中前にサヨナラ適時打を放った。
須江航監督は「これまでずっと投手陣におんぶにだっこでした。今日は投手がうまくいかない中、野手の子たちがひっくり返せた。野手の子たち成長を感じました。頼もしいというより、凄いなと思います」と感慨深げだった。
齋藤陽が打席に入る直前、監督が伝令の選手を通じて「顔が暗いぞ」と声をかけ、緊張をほぐした。齋藤陽は「それまでの打席の内容が悪くて、この打席で打てなければ死んでしまうのではないかと思った」と悲壮感を漂わせていたのだ。
投手陣は、今夏の優勝の原動力となった“140キロクインテット(五重奏)”のうち3人がチームに残った。この日は背番号10の湯田統真投手(2年)が先発したが、初回先頭打者に初球をいきなり中堅左へ二塁打され、相手の4番・仲田侑仁内野手(2年)に先制右前適時打を許して失点。4回1死一、二塁のピンチを背負ったところで、背番号1の高橋煌稀投手(2年)にスイッチするも、1死満塁となった後、8番打者の糸数幸輝外野手(2年)に中前2点適時打を浴びる。5回にも追加点を奪われた。8回からは左腕の仁田陽翔投手(2年)が2イニングを無失点に抑えていた。
新チーム結成後、秋の宮城県大会決勝で東北に敗れたが、第2代表として出場した東北地区大会の決勝で東北にリベンジを果たし、今大会へ駒を進めていた。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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