◆テニス ▽全米オープン 最終日(11日、ニューヨーク、ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
車いすの部の男子シングルス決勝で、第1シードの国枝慎吾(ユニクロ)が、第2シードのアルフィー・ヒューエット(英国)に6―7、6―1のストレートで敗れ、同一年の4大大会を総なめする年間グランドスラム(GS)達成を逃した。
第1セットはタイブレイクの末に先取され、第2セットは出だしから3ゲームを連取されて苦しくなった。準々決勝と準決勝で武器になった第1サーブは、成功率が69本中44本で64%。第1サーブからの得点率が45%(相手は70%)と伸び悩んだ。ウィナー(決定打)も、相手(39本)の半分以下となる16本。強打や、ネット際への繊細なタッチを見せた相手に、要所で押し切られた。ヒューエットへ「おめでとう、と言いたい。今日のプレーは良すぎたよ。来年、また挑戦したい」。悔しさの中に、穏やかな笑みも浮かべながら、握手を交わして健闘をたたえた。
昨夏の東京パラリンピックで優勝。「燃え尽き症候群みたいなものを体験した」と率直に明かす。13年の招致決定から8年。大目標は成長の背中を押すとともに、達成した後の喪失感も大きい。「いつやめようかな、って毎日考えていた」。ただ、国枝はテニスが好きだった。今年1月の全豪で頂点に立ち、気持ちはがらりと変わった。「今までのキャリアのベストなプレーができて、それから、やるべきことがまた見つかった。自分自身のパフォーマンスどれだけ上げられるかに、集中できるようになった」。ウィンブルドンで生涯グランドスラムを達成。今大会は準優勝となったが「トレーナーやコーチ、妻、支えてくれて感謝したい。次のステップに進めているから、またチャレンジしたい」と前を向けている。
来月には、国内で雄姿を見せる機会もある。楽天ジャパン・オープン(東京)で車いすの部が開催。「お客さん、特に日本の方々の前でやるってところは、昨年東京(五輪)で、できなかったので。多分2019の楽天以来になるのかなっていう風に思いますし、そういう意味では、すごく楽しみ」と心を躍らせた。
大会前、自身のキャリアについて「もう先は見ていないです。目の前の大会をどう戦うかというところに集中しているし、日々どうやって過ごすかというところに重きを置いているかなと思います」と心境を明かしていた。年間GSの快挙は、来季以降にまたチャンスはある。一戦必勝を貫く先に、道はきっと開ける。
◆テニスの年間GS 4大大会を同一年に全制覇すること。サーフェス(コート面)が、全豪と全米はハード、全仏はクレー(赤土)、ウィンブルドン選手権はグラス(芝)と異なるために難しい。健常者の男子シングルスでは、1968年のオープン化以降は、ロッド・レーバー(オーストラリア)が1969年に達成した1例のみ。女子シングルスも、1970年のマーガレット・コート(オーストラリア)、1988年のシュテフィ・グラフ(ドイツ)の2例しかない。グラフは、同年ソウル五輪も制し、史上唯一の年間ゴールデンスラム達成者。
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