パ・リーグ ロッテ5―1楽天 ( 2021年8月28日 楽天生命 )
ロッテ・佐々木朗希投手(19)が、28日の楽天戦で、93日ぶりの白星となるプロ2勝目を挙げた。岩手県出身の右腕が、東北の地で1軍初登板。5回83球を投げて3安打5奪三振と好投し、初の無失点投球を演じた。チームの3連勝に貢献し、首位のオリックスとのゲーム差は2・5に。19歳の「令和の怪物」がみちのくで手にした白星を、自身とチームの上昇への弾みにする。
岩手県陸前高田市で生まれ、大船渡市で大きく育った。そんな佐々木朗に、同じ東北の仙台市で登板したことを「地元凱旋」と押しつけるのは酷かもしれない。
ただ、東北には応援してくれる人たちがいることも知っている。「地元ではないけど…。でもいい姿を、いい投球を届けられるようにしたい」。仙台には、故郷の友人たちも多く進学している。覚悟を口にしてマウンドに上がり、プロ7度目の先発で初めてスコアボードに「0」を入れた状態で、リリーフ陣にバトンを託した。
5回3安打無失点で待望のプロ2勝目。2回まで得点圏に走者を背負いながら、打線の援護をもらうと3回以降はパーフェクト投球だった。最速156キロで5三振も奪った。ヒーローインタビューでは「長い間、勝てなかったのでうれしいです」と5月27日の阪神戦(甲子園)以来となる93日ぶりの白星を東北で飾ったことを素直に喜んだ。
大船渡から仙台まで直線距離で約115キロ。近くて遠いが、それでも19歳にとって思い出が詰まったスタジアムだ。東日本大震災の前に2度、震災後にも1度、家族や少年野球チームの仲間と観戦に訪れた。右翼席付近に陣取ることが多く「視力が悪かったので、マジで何も見えなかったんですよ」とどんなプレーを見たか、そんな記憶はあやふやだ。
とはいえ、鮮明に残る思い出もある。家族と訪れた小学3年生の時には、球場外で一番速い球を投げた人が始球式に登板できるスピードガンコンテストが実施されていた。「一番速い人は120キロぐらい出ていた。自分は小3なので80キロぐらいしか出ないのに、スピードが出たら、始球式で投げなくちゃいけないと勝手に思った」。最速163キロを誇る「令和の怪物」だが、控えめで恥ずかしがりなところは今と同じで、チャレンジすることを断念したエピソードもほほ笑ましい。
それでも、初めて見たスタジアムは「凄く大きい!」と興奮した。そんな少年が11年後、プロ野球選手として帰ってきた。当時と違う景色は何だろうか。そんな質問に、佐々木朗は「観覧車!」と即答して笑う。やっぱり、特別な場所での白星は格別なのだ。(横市 勇)
《高卒2年目以内に2勝以上 唐川以来12年ぶり》2年目の佐々木朗(ロ)が自身初となる無失点に抑え5月27日阪神戦以来の2勝目。ロッテで高卒2年目以内に2勝以上は、唐川が1、2年目の08、09年に5勝→5勝と合計10勝して以来12年ぶりとなった。また、先発は7試合目だが、いずれも責任投球回の5イニングをクリア。今季7試合以上に先発したパの投手で5イニング未満の降板がないのは、他に山本(オ)、宮城(オ)、早川(楽)、田中将(楽)、マルティネス(ソ)、ニール(西)、今井(西)だけで、チームでは唯一だ。
【7度目先発 朗希の今季】
☆本拠地でプロ初登板 5月16日の西武戦(ZOZOマリン)で1軍初登板。初回に4番・山川から141キロフォークでプロ初奪三振。5回を107球、6安打4失点(自責2)で降板し、最速は154キロだった。
☆甲子園で初勝利 同27日の阪神戦で大船渡時代も含め、自身初の甲子園登板。5回を94球、7安打4失点だったが、降板直後に角中の2点適時打などで逆転。ウイニングボールについて「両親に渡したい」と話した。
☆柳田被弾で初黒星 6月24日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)で本拠地3度目の登板。初回2死から柳田に先制ソロを許し、2―2の6回にも再び柳田に勝ち越し打。5回1/3を5安打3失点でプロ初黒星を喫した。
☆プロ最速157キロ 7月9日の日本ハム戦(ZOZOマリン)の初回、3番・高浜への初球、外角低めのボール球がプロ最速の157キロをマーク。2軍戦での156キロを1キロ更新したが、5回を8安打4失点(自責2)で2敗目。
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