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Sunday, August 30, 2020

盗難相次ぐ豚や牛、目的は 北関東で大がかりな犯行 - 日本経済新聞

栃木と群馬、茨城県で家畜盗難が相次ぎ、7月上旬から今月28日までに豚約680頭、子牛8頭、ニワトリ28羽の被害が確認された。前橋市の養豚場では一度に豚約400頭が盗まれ、短時間で運び出す大がかりな犯行も。密売か、食用か。目的も判然とせず、畜産家らは怒りと不安を隠せない。

栃木県足利市の牧場で子牛が連れ去られている様子を撮影した防犯カメラの映像(22日夜、画像の一部を加工しています)=共同

栃木県足利市の牧場で子牛が連れ去られている様子を撮影した防犯カメラの映像(22日夜、画像の一部を加工しています)=共同

前橋市や太田市など4市7養豚場で豚計約670頭の被害があった群馬県。県警によると、盗まれた豚は人がいない夜間、主に生後2~4カ月の子豚が狙われた。

出荷時期の生後6カ月には体重120キロに達し農家でも動かしにくいが、子豚は40キロほど。一部の現場には豚の血痕が残され、JA前橋市の担当者は「その場で殺し持ち去った可能性がある。あまりにも残酷」と話す。

県警幹部は「育てるにはえさ代がかかる。育てて親豚にして売るのではなく、肉として食べるのだろう」とする見方を示す。ただその場合でも専門的な知識や技術が必要で、処理する場所を確保するのは簡単ではない。

栃木県足利市では6~8月、2つの牧場で3回にわたり計6頭の子牛が盗まれた。防犯カメラには車から降り立った2人が子牛の脚を持ち、逆さづり状態で運ぶ姿が。子牛は抵抗せず、だらんとしている。映像では、男らは約10分間で手際よく3頭を連れ去った。

被害に遭った「鶴田ファーミング」の鶴田一弘代表取締役(57)によると、6月下旬に子牛2頭が盗まれ、牛舎内と周囲に計8つの防犯カメラを設置した直後に再び被害にあった。鶴田さんは「大切に育ててきたので、家族を失ったような気持ち」と肩を落とし、一方で「まだまだ食べるところもろくにない子牛なのに……」と目的が見えない犯行に苦悩していた。

栃木県の畜産関係者は、映像に残る様子から「麻酔など何らかの方法で意識を失わせたのでは。正規ルートで販売するのは難しく、インターネットの裏サイトなどで肉として流通するのだろう」と推測した。

盗難に伴い、豚熱(CSF)など感染症拡大への懸念もある。群馬県の山本一太知事は27日の記者会見で「消毒もせず外部から人が入ってくるのは危険。非常に深刻な事態だ」と危機感を示した。

〔共同〕

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