冬の風物詩である、全国高校サッカー選手権大会が終了した。青森山田高校の優勝で幕を閉じたが、見るべきものは多かった。実り多き第102回大会をサッカージャーナリスト後藤健生が振り返る。
■近江の「旋風」のベース
近江が起こした「旋風」の裏打ちとなったのは、選手たちのボールテクニックだった。
青森山田の前線からのプレッシングに対しては、強豪校も押し込まれてしまうことが多かったが、近江の選手たちはそうした強烈なプレッシングに対しても恐がることなく、ボールをつないで見せた。
多くの高校が、青森山田のプレッシングを前にボールを下げる選択をしたのに対して、近江の選手たちは相手がプレスをかけてくる勢いを逆に利用して、相手をギリギリまで引き付けてからパスをつないだり、ターンしてドリブルに移ることでプレッシングをはがしていったのだ。
中盤でテクニックを見せて、ドリブルをまじえながら大きな展開を見せたMFの西飛勇吾や右サイドでのドリブルでボールを運んだウィングバックの鵜戸瑛士など、ボールテクニックは確かなものだった。すべての選手が、同じように相手を引き付けてプレーできていたのだから、これは前田高孝監督の指導力によって身に着けたものなのだろう。
相手を引き付けてプレーするのは、かなり勇気の必要なプレーだ。だが、近江の選手たちが怯まずにつないだ。
決勝戦では最終的には青森山田のフィジカル能力が上回った。
青森山田と近江では、先発11人の平均の体重で5キロ以上の差があった。フィジカルで圧倒的に上回る青森山田相手にテクニックで対抗したものの、後半に入ると疲労の色が濃くなり、パスの精度が落ちていった。
そのため、パスをつなぐことはできても、青森山田の分厚い守備の前にシュートまで持ち込めず、近江のシュートは前後半1本ずつに終わった。また、高さで劣るためセットプレーでも劣勢。ショートコーナーを選択したものの、うまくつなぐことができず、逆に自チームのCKからカウンターを受けて何度かピンチを招き、1点を失うことになってしまった。
それでもテクニックを前面に出して決勝まで進出した近江は多くの観客に強烈な印象を残して大会を去った。
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