3冠最終戦、第84回菊花賞・G1(22日、京都)の追い切りが18日、東西トレーニングセンターで行われた。今年の日本ダービーを制したタスティエーラは、騎乗するブラジルの名手ジョアン・モレイラ騎手(40)が初コンタクト。状態を確認し「自信を持って乗れる」と手応え。ダービーから菊花賞に直行して勝った馬はいない。大きなハードルを乗り越え、新たな歴史を作る。19日に出走馬と枠順が確定する。
幾多の名馬の背を知るモレイラも期待を隠さない最終デモだった。タスティエーラは美浦・Wコースで外ダノンラスター(7歳オープン)を5馬身、中カフェクロニクル(4歳1勝クラス)を2馬身追いかける3頭併せ。道中は力感たっぷりの追走で集中力も十分。4角では最内から2頭に早々と並びかけると、ラストもグンとギアを上げ1200メートル81秒4―11秒7でフィニッシュ。初タッグを感じさせずピタリと息の合った追い切りに「落ち着いていてコントロールしやすい。自信を持ってレースができる」と名手も合格点を与えた。
ダービーは首差で頂点に立ったものの、皐月賞ではただ一頭抜け出したところをソールオリエンスの強襲に遭い2着に敗れた。堀調教師が「春シーズンは抜け出すとソラを使う(集中力を欠く、気を抜く)、周りに気を取られるところがありました」と話すように、集中力の維持に主眼を置いた最終追い切りだった。だが、残り100メートルで一度先頭に立ったものの、最後までリズムを保ったまま一直線に駆け抜け、その不安は一切感じさせず。トレーナーも「調教のさじ加減としても、ちょうどいいタッチで来ていて、非常にいいコンディションで来ています」と課題をクリアし、不安要素を取り除いた。
堀調教師が手掛けた父サトノクラウンは、モレイラとのコンビで16年香港ヴァーズでG1初制覇を果たした。再度のタッグで2冠に挑む鞍上は「息子に乗れるのはうれしい。サトノクラウンはテンションが高めで2400メートルまでの印象が強いけど、この馬は落ち着いているし、父より距離が延びていいと思う」と600メートルの距離延長に自信をのぞかせる。
普段からやや繊細な面をみせるダービー馬だけに、初の関西圏への長距離輸送はカギを握りそうだが、「ノーザンファームしがらき(滋賀)の往復や北海道への馬運車では何も癖はない」と堀師。ダービー馬が直行で挑む菊花賞を史上初めて制し、新たに歴史に名を刻む可能性は十分にある。(石行 佑介)
◆堀調教師とモレイラ騎手に聞く
―ダービーからの調整過程は。
堀調教師「ノーザンファーム早来(北海道)で疲れを取ってからしっかりと乗り込んでいます。乗り始めてしばらくたったところで右トモ(後肢)の背筋に疲れが出て、それほど大きなものではなかったんですが、前哨戦を叩くにはぎりぎりいけるかなという感じで、北海道も暑さが厳しかったので協議して菊花賞に向かおうということになりました」
―ストロングポイントは?
モレイラ「ダービー馬で非常に能力が高いし、落ち着いていて調教も折り合いも良くできた。いいところを見せてくれたし、自信を持ってレースができる」
―アップダウンがある京都3000メートルの印象。
モレイラ「(この馬でレースには)乗ったことがないが、VTRを見る限り特に問題ないと思っている。最終コーナーでコーナリングして長い直線がある、強い馬が勝つコース。坂に関しては問題ない。3歳馬はみんなが初めての経験。菊花賞はクラシックだし、勝ちたいレースの一つ。個人的にも短距離より長距離が好き」
【イシゴーPoint】
名手とのコンタクトが圧倒的にプラスになったという印象だ。2頭併せだった12日の1週前追い切りでは、最後の直線では抑え切れない手応えで1馬身ほど前に出るほど旺盛な前進気勢。ラスト200メートルは11秒2をマークしたが格好がいいとは言い難かった。
だが一転、モレイラ騎手が手綱を執った今週は3頭併せの内でしっかりと制御が利き、鞍上の意のままに気分良さそうに駆け抜けた。反応も一段階良化しており、脚さばきも素軽さが増し、折り合いもスムーズそのもの。闘争心をグッと内包させる“味付け”にも好感が持てた。2冠達成をイメージできる内容だけに、軽くは扱えない。
スポーツ報知
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