【畑野理之の談々畑】森下が、森下から打ってサヨナラよ――。阪神・岡田彰布監督がもしもこのシーンまで読み切っていたらすごすぎる…。0―0の9回2死一、二塁で森下翔太が広島の森下暢仁から左前打で決着した。
大竹耕太郎と森下の両先発による投手戦は予想できた。そして、その通りの展開。中盤からすぐにどうやって1点を取るか、いかに1点を防ぐかの攻防が始まった。相手ベンチとの読みあい、駆け引きは、岡田監督の望むところだ。「昔はなあ、相手ベンチと必死に戦っていたよ」。巨人・原辰徳監督、中日・落合博満監督と意地の張り合いをしていた前回04年からの5年間を、よく楽しそうに振り返っている。
広島に初回と5回に無死一塁とされたが、いずれも大竹は併殺で切り抜けている。その大竹を7回無失点で代えて8回岩貞祐太、9回岩崎優の無失点リレーだが、3者凡退は9回の1イニングだけ。阪神も6回に先頭の中野拓夢が中前打で出塁したがシェルドン・ノイジーが中飛、大山悠輔が痛烈だったものの、遊ゴロ併殺。両軍とも決して拙攻ではなく、どちらもよく守りぬいた印象。1手ごとに変わる局面はまるで将棋を指しているようで、王手どころか、得点圏に進めて「と金」にするのも必死だった。
岡田監督は将棋の駒を小学生の頃から握っている。現役時代は甲子園のロッカーに将棋盤があり、試合前に川藤幸三やランディ・バースと指していたのは有名な話だ。「相手がどう打ってくるか何手、何十手も先を読むのが野球にも通じる」。08年1月にはアマチュア3段に認定された実力。飛車角金銀よりも変則的な動きをする桂馬の起用法に策を巡らせるのが好きなのも、いかにも岡田監督らしいのかもしれない。
最後もそれまで3打席に凡退していた森下を、そのまま打席に送った。代打は考えていなかったとの感想戦。「きょうは森下でいくと決めてたんよ。初めての投手よりも、鳴尾浜で対戦してタイミングが合っていてヒットも打っているしね。きょうの1打席目(左飛)も紙一重やったと思うよ」。9回2死からの詰め将棋。大山が右中間二塁打、佐藤輝明が申告敬遠で一、二塁になったときに、やっと“詰んだ”と確信に近いものがあったのかもしれない。
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