【テンピ(米アリゾナ州)23日(日本時間24日)=四竈衛】WBCへ向け、大谷が「完調間近」-。エンゼルス大谷翔平投手(28)が、またしても推定飛距離140メートルの豪快弾を放った。同地のメイン球場で行われたフリー打撃で、左中間最深部へ場外弾をたたき込んだ。前日には実戦形式の練習に登板し、最速97マイル(約156キロ)をマークするなど上々の仕上がりを披露。3月上旬の侍ジャパン合流へ向け、世界一を目指す「二刀流侍」の調整ペースが一気に本格化してきた。

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もはや規格外だった。中堅方向からの向かい風を突き抜け、吹き上がるように舞い上がった打球が大アーチを描いた。大谷の黒バットからはじき出された衝撃の一打は、左中間芝生席の最深部にそびえ立つ2本の木の上空を越え、場外の茂みへと消えた。それだけではない。中堅バックスクリーン左のポール直撃弾、右中間スコアボード直撃弾など、計35スイングで8本の柵越えをマークした。

20日のフリー打撃ではマイナー施設の右翼後方にあるクラブハウス越えの推定140メートルの弾丸ライナーを放ち、同僚トラウトらをあぜんとさせたばかりだった。この日もルーティンのメニューとはいえ、打撃投手のスローボールを、逆方向に場外まで運ぶ桁外れのパワーに、スタンドのファンからはどよめきにも近い歓声が湧き起こった。

その後は、マイナー施設へ移動し、実戦形式のフリー打撃に臨んだ。腰の故障から復帰し、先発ローテの一角として期待される右腕グリフィン・キャニング投手(26)と対戦。2打席に立ち、いずれもフルカウントから四球を選んだ。打者有利なカウントで積極的に振るだけでなく、しっかりと球筋、コースを見極め、納得の表情で引き揚げた。

今後は26日のホワイトソックス戦、27日のジャイアンツ戦(いずれもテンピ)にDHで出場し、28日の敵地アスレチックス戦で先発して即帰国し、侍ジャパンに合流する予定。同学年の藤浪が先発するア軍戦で打席に立つ可能性について、ネビン監督は「まだ分からない。直前の試合次第だろう」と話しており、最終的には大谷の意思を尊重することになりそうだ。

同地での滞在は残り5日間。目的意識の高い大谷だけに、決められたメニューをこなしているわけではない。キャンプイン直後、「今まで通りの感じで十分」と話していたが、一段とスケールアップした大谷の仕上がりが、例年以上に快調なペースであることは間違いない。