〝初采配〟を白星で飾った日本ハムの新庄監督はご機嫌だった。８日に沖縄・宜野座村で行われた阪神との練習試合を６－２で制した。誰が先発出場するのか、守備位置はどこなのかは秘密で、選手が知ったのは試合開始直前のメンバー発表のとき。「楽しかったね。スタメンのメンバーはね、夜間練習をしていた選手を選んだの。その結果が出た」。ビッグボスは選手の起用理由をそう明かして自画自賛した。
ただ、型破りな新庄監督はベンチで指揮官然としていたわけではない。グラウンド奥のプレハブ小屋で相手投手を観察したり、ベンチの奥に引っ込んで姿を見せなかったり…。細かなサインや選手交代などはコーチに任せ、自らは選手のプレーぶりを見守ることに主眼を置き、「やっぱり試合はおもしろいね」と感想を口にした。中でも「きょうのポイント」と持ち上げたのが、１番で出場し、いきなり左前打を放った杉谷の打撃。「初球を打って、一塁ベース上でガッツポーズしていた。俺なんか、開幕戦で打ってもしないのに…」と評すると「何人か今年に懸ける気持ちが出ていてうれしかった。すごくいい一日だった」と続けた。
さらには、外野が本職の五十幡(いそばた)や万波を内野で使い、内野手の野村や細川を外野で起用。「選手に『違うポジションを守ってどう？』と聞くと、『めちゃくちゃ楽しかった』と答えていた。緊張感を持ってプレーできるしね」と新庄監督。左翼をこなした野村は「実際に守って試合で打球を捕るのは初めて。本当に（ボールが）きたよという感じだった」と振り返った。４番遊撃で出場した五十幡は「経験はないが、任された以上は遊撃になりきって、必死にくらいついていこうと思った。遊撃を守ることで、野球をもっと知り、野球観を広げたい」と話した。常識にとらわれないビッグボスの発想が、チームに浸透しつつある。（北川信行）
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