身体を作りあげていくうえで、また体調を維持し長く現役生活を続けるためにどんな食生活を送ればいいのか。食事への配慮、食事の比重の増大は、今日のスポーツ界ではますます顕著になっている。『フランス・フットボール』誌7月10日発売号では、ジェレミー・ドクトゥール記者が、サッカー選手と食事の関係をレポートしている。 【秘蔵写真】意外と見たことない久保vsメッシに香川&レバンドフスキ、ロナウドvs冨安、内田&ノイアーに中田&トッティ…ワールドクラスの若き日! 思い起こせばティム・ブレッドバリー(香港代表)は、試合のあとパブでビールを飲みながら私の取材に応じた。日本代表のある主力選手たちは、やはり試合のあと広島のお好み村で栄養補給の夜食を摂っていた。いずれも1990年代のことである。いったい何がどう変わったのか。ドクトゥール記者が伝える。(肩書や年齢などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです) (田村修一) 何を食べたか言ってくれ。そうすれば君にどうプレーしたらいいか教えられる。 プロの世界では、食事の占める割合が以前に比べずっと大きくなり、創意工夫に富んだ栄養士が選手の食事を観察している。 「文化は変わった。今は誰も酒を積極的に飲もうとは思わない。試合前日にケーキをひとつ食べるのは推奨されても、ビールを7杯も飲んだりそれを毎日のように続けるのは選手生命を縮めるだけだ」 そう語るのは、2017~20年にアーセナルで栄養士を務めたリチャード・アリソンである。イングランドではブライアン・クラフのノッティンガム・フォレストが、移動のバスの中にビールを持ち込んだ1970~80年代から習慣が変化した。当時の選手たちは、好きなときに好きなものを食べていた。
名将ベンゲルがもたらしたフットボーラーの食事改革
変革は1996年9月にもたらされた。アーセナルの監督に就任したアーセン・ベンゲルが、それまでの風習を断ち切ったのだった。就任当初はほとんど名前を知られていなかったイングランドで、《Arsène who ? =アーセンって誰? 》と呼ばれた革新的な改革を断行したベンゲルは、選手たちの食習慣も大きく変えた。今日ではほとんどのクラブが、専属の栄養士を雇い入れて選手たちの体調管理に細心の注意を払っている。 情報分析家や心理学者、スポーツ科学者、その他あらゆるモダンなポストに従事するスタッフたちと同様に、食事のエキスパートも選手生活のあらゆる局面に介入する。論理はいたってシンプルで、《よりよいパフォーマンスを実現するために食事を改善する》である。ゲータレード・スポーツ・サイエンス・インスティテュート(GSSI)のメンバーであり、主にマンチェスター・シティとバルセロナのために働いているイアン・ロロは語る。 「適切な食生活を送り続ければ、より長く現役を続けられることは今ではよく知られている」 長く輝かしい未来が開けていると信じている若手よりも、あと数年間現役生活を延ばしたいと願うベテランにとって、これは切実な問題である。そこから栄養士と選手の親密な関係構築の必要性が生まれる。あくまでも関係が個別であるのは、それぞれの事情やモチベーションが異なっているからである。 「選手が何を感じているか、特定の何かを改善したいという意志、さらには彼らが抱える炎症や痛み、負傷、消化機能障害、肥満といったさまざまな問題を考慮して関係は築かれる」と、2016年リオ五輪のセーリング女子470級で銅メダルを獲得し、2017~20年にオリンピック・マルセイユの栄養士を務めたエレーヌ・ドゥフランスは述べている。 適切な食事を摂り続けるのは、プロのスポーツ選手にとっては不断の戦いである。教育やメソドロジー、対話などなどによって、目的にかなった食物の効能を絶え間なく彼らに伝え続けねばならない。 「1日25時間、週8日間の仕事だ。彼らを説得するのが最も難しい」とリチャード・アリソンは語る。あくまで目的は(特定の食物の)禁止ではなく知識の伝達である。 「バランスを探りながら対話を続ける。すべてを一度に変えることはできないのだから」と、2018年以来リールで栄養士を務めるカミーユ・ランボーは述べている。 「当初、栄養士は《選手たちが何を食べているかを監視する憲兵》とみなされていた。だが、私の場合はそうではなかった」 目的は、選手が好まない食事療法を彼らに押し付けることではない。 「彼らにダイエットを強いるのではなく、体質を調整することであり、練習場や移動先のホテル、家での食事メニューのバランスをとることだ」と、2016年にリーグアン初のクラブ専属(フルタイム)栄養士としてモナコに就任したファンホセ・モリラスは言う。
からの記事と詳細 ( バルサには“疲労回復用のピザ”が…選手寿命を伸ばしパフォーマンスを最大化するフットボーラーのための《最高の食事》とは(Number Web) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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