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Wednesday, May 19, 2021

農家と客、距離縮めるキッチンカー 自慢のトマトでピザ - 朝日新聞デジタル

sakonsahom.blogspot.com

 コロナ禍で人と間隔を確保する生活が続く。ただ、神奈川県藤沢市の農家、佐藤智哉さん(41)は新型コロナをきっかけに、客との「距離」が近くなった。キッチンカーを始め、自慢のトマトを使ったピザを味わってもらう日々。「お客さんとコミュニケーションを取り、反応が直接分かるのがうれしい」とやりがいを感じている。

 「湘南佐藤農園」で育てた野菜を直売所で販売していた佐藤さんは、4月からここでキッチンカー「畑のキッチン」を出し始めた。収穫したばかりのトマトでソースを作り、キッチンカーの窯で焼き上げる。マルゲリータ(税込み900円)や藤沢産の春キャベツを使った「旬の野菜ピザ」(同1千円)が看板メニューだ。

 「めちゃくちゃおいしかったです」。ある日、車の中で食べていた男性がわざわざお礼を言いに来てくれた。佐藤さんは「すごくうれしい。その一言は絶対忘れない」と振り返る。

 佐藤さんは元々サラリーマンだった。実家が古くから農業を営んでいた夏生さん(40)と結婚し、2014年に4代目となった。新型コロナの影響で、昨年3、4月の売り上げは半減したが、次第に直売所に客が戻り、トータルでみると昨年の売り上げは約2割増しだった。ただ、今後を見据え、仕事のあり方を見つめ直す契機になった。

 農園では夏生さんや両親、従業員らと「フルーツトマト」を手がけている。糖度が高いと評判だが、形がそろわないと売り物にならない。味は変わらないのに捨てるのが忍びなく「野菜だけじゃなく、野菜を使った料理も届けたい」と考えていた。

 直売所では地元の客たちが喜んで野菜を購入してくれていた。そんな姿を見ると、苦労も吹き飛んだ。店舗を構え料理を味わってもらうという選択肢もあったが、「本業は農業」との思いが強かった。そこで導入を決めたのが、農作業に支障がなく以前から関心があったキッチンカーだった。

 ピザ作りのため料理本を買い込み、料理上手な妻や農園スタッフと試作を重ねた。既製品のピザを食べたがらない娘が完食する姿を見て自信を持った。

 キッチンカーは週末を中心に、湘南佐藤農園の直売所のほか、藤沢市内などの農協関連の三つの直売所を回っている。用意した70枚の生地が完売することもしばしばある。

 「うちのような都市型農業の強みは多くの人が周りに住んでいること」と佐藤さん。「お客さんとのコミュニケーションを大切にすること。それがうちが生き残る道だと思う」

 キッチンカーの予定は湘南佐藤農園のホームページ(https://www.shonansatonouen.com/別ウインドウで開きます)で。(秦忠弘)

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