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Wednesday, June 24, 2020

<ふくしまの10年・牛に罪があるのか>(8)拭いきれない後悔 - 東京新聞

東日本大震災の津波による被災者を慰霊する碑=福島県富岡町で

東日本大震災の津波による被災者を慰霊する碑=福島県富岡町で

 命の危機に立つ牛たちを眺めながら、富岡町の畜産家、坂本勝利(かつとし)さん(82)は「原発さえなければな」とため息をつくことがあった。事故が起きてしまった後では、取り返しはつかない。理解はしているが、拭いきれず沸き上がってくる後悔だった。

 農園の北十キロほどの大熊、双葉両町にまたがる飛行場跡地に、原発の建設計画の動きが出始めたのは一九五七年ごろだった。「高校を卒業して何年かたったころだった。まだ子どもで何にもわからなかったけれど、常磐線沿線がにぎやかになるかと期待もしていた」

 東京電力福島第一原発は1号機が一九七一年三月に運転開始。一九八二年四月には、富岡、楢葉両町にまたがる福島第二原発1号機が運転を始めた。「第二原発のときは地元で多少の反対運動はあった。でもすぐに消えてしまったね。当時、このあたりは産業といえば農業と林業くらいしかなかった。大きな発電所が来るといえば、そりゃあ魅力的だったんですよ」

 ところが二〇〇七年七月に新潟県中越沖地震が発生。東京電力柏崎刈羽原発で想定を大きく超える揺れが記録されたことから原発の耐震性に注目が集まった。坂本さんは町議会議員になっていたが、町議会でも福島第一、第二原発の安全性を巡って激しい議論があったという。

 「貞観地震(八六九年)と同規模の地震が来たら、富岡町の中心部にある富岡第一小学校のあたりまで津波に襲われるというんだね。それで原発は大丈夫なのか。東京電力はちゃんと対策を講じているのか。心配になって、いろいろ調べた。すると、福島第一の耐震工事には三百億円ほどかかるが、この費用をケチって見送ったというんだね」

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