福島県産のブランド牛肉「福島牛」を味わえる飲食店が増えている。東日本大震災と原発事故を受け、東京電力ホールディングス（ＨＤ）が福島牛をはじめとする同県産食材の消費拡大に取り組んでいることが背景にある。３月から５月にかけて、グルメやカルチャー情報の月刊誌「東京カレンダー」とタイアップし、フレンチからイタリアン、鉄板焼き、和食、スタンドバーまでの都内５店舗が競演し、個性豊かなメニューを提供するフェアも開催している。
「前菜からメインまですべての料理に福島牛を使い、心行くまで堪能できる。魚介や野菜との組み合わせも楽しんでほしい」
こう話すのは、東京・赤坂のフレンチレストラン「ＣＲＯＳＳ ＴＯＫＹＯ」の斎藤拓人サービスマネージャーだ。
前菜はコンソメスープを固めたジュレにウニを合わせた一品。熟成生ハムとハーブのサラダ、やわらかいほほ肉とハマグリの一皿と続き、サーロインの薫製とフィレの炭火焼きがメインを飾る。料理のソースには野菜や果実を使い、自然の風味が福島牛のうま味を引き立てる。それぞれの料理に合うよう選ばれた福島県の日本酒も楽しめる。デザートにも福島県産のトマトを使用し、最後まで飽きさせない。福島牛コースの提供は５月中旬まで。
斎藤さんは「これまでも食材の提供を通じた地方創生に取り組んできた。福島牛のおいしさを伝えることで復興の役に立ちたい」と、フェア参加の理由を話す。
フェアには同店のほか、浅草のすき焼き店「ちんや」、渋谷の鉄板焼き店「ＴＥＰＰＡＮＹＡＫＩ１０ＳＨＩＢＵＹＡ」、上野のイタリアンレストラン「ＴＲＡＴＴＯＲＩＡＰＩＮＯＬＯ」、内幸町のスタンドバー「ＭＵＲＡＢＡＲ銀座裏コリドー店」が参加。実施は４～５月まで。発売中の東京カレンダー５月号に各店を紹介する特集を掲載。産経新聞社が発行するフリーマガジン「メトロポリターナ」３月号でも紹介している。
福島牛は県内で飼育された黒毛和牛で、良質の霜降りとやわらかな肉質、風味豊かな味わいが特徴で、「牛肉の傑作」と称されている。
「肉質と味は、他の有名ブランド牛肉に比べてもまったく遜色ない。トレーサビリティー（生産流通履歴）もしっかりしているので、安心して自信を持って提供できる」
福島牛をこう絶賛するのは、レストラン事業などを展開するユニマットキャラバン（東京都港区）の亀井克也商品本部本部長だ。
同社では昨年４月、東京・芝大門に福島牛をメイン食材とする居酒屋「酒（しゅ）舗（ほ）らくだ」をオープン。東京カレンダーのフェアに参加している「ＴＲＡＴＴＯＲＩＡＰＩＮＯＬＯ」も同社が運営している。
今月からは東電ＨＤと協力し、両店を含む計６店舗で、最高ランクのＡ５等級の福島牛を割安で提供するフェアを開催中だ。「らくだ」では、「極上炙（あぶ）り焼肉丼」が７５０円（税込み）で、「サーロインの鉄板焼き」が８８０円（同）で味わえる。
東電ＨＤでは「ふくしま流通促進室」を設け、福島牛をはじめとする同県産食材の魅力を発信し、消費拡大と販路開拓に取り組んでいる。同室の荻野昭彦部長は「福島県産食材のおいしさとともに、安心・安全の取り組みを広く飲食店の人たちに知ってもらい、取り扱い店舗をさらに増やしていきたい」と話している。
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各店舗では新型コロナウイルス感染防止対策を実施するとともに、今後の状況によっては営業自粛も検討している。
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April 03, 2020 at 10:20AM
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