乾燥精子で子牛誕生 世界初の快挙 宮城県 - 日本農業新聞

自然界では何万年もかかる生物の変化を１０年にも満たない短期間で実現できる 　自然界では何万年もかかる生物の変化を１０年にも満たない短期間で実現できる▼品種改良の妙味である。育種家の竹下大学さんは「自分の温室や畑の中で進化の時計を操れてしまう」と、『日本の品種はすごい』（中公新書）で書いた。「千姿万態」。野生種と掛け合わせて進化プロセスを“実物”で再現することもできるという▼野菜や果樹などで２７０００を超える品種が登録されている。鍵を握るのは「変わりもの」。今は遺伝子を操作する研究も盛んだが、農家らが他と違う性質を見いだして、一世を風靡（ふうび）する品種につながったものも少なくない。梨の「二十世紀」は、千葉県松戸市の少年がごみために自生していた風変わりな幼木を日本一に育て上げた▼人と違った発想は思わぬ技術革新をも生む。果樹栽培に革命を起こした「ジョイント栽培」は、何本もの苗を連続的に接ぎ木して“１本の木”にしてしまう奇想天外な技術。梨の平棚栽培の高さがそろい、収穫効率が格段と上がった。開発者で神奈川県農業技術センターに勤める柴田健一郎さんは「発想は圃場（ほじょう）管理職員との休憩時の雑談の中から生まれた」。気付きの大切さである▼きょうは「発明の日」。「ボーっと生きてんじゃねーよ」。チコちゃんの決めぜりふが普段以上に説得力を持つ。   日本農業新聞の購読はこちら>> 2020年04月18日

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